子どもの高熱にともなう 「熱性けいれん」

●「熱性けいれん」とは

子どもが風邪などの感染症で熱を出した時に、けいれん(ひきつけ)を起こすのが「熱性けいれん」です。


 髄膜炎などの脳炎や、てんかんなど基礎疾患がない、生後6カ月~5歳の乳幼児にみられる発作性の疾患です。
 子どもが救急搬送される原因として最も多いのが「熱性けいれん」で、なぜか春に増える傾向があります。


 日本人は熱に弱い民族なのか、その発症率は、欧米人に比べて約2倍。12~13人に1人の子どもが「熱性けいれん」を起こしています。


 1回だけの発症にとどまる場合も多く、再発率は約30%です。両親のいずれかに熱性けいれんの既往歴がある、1歳未満で発症、熱発してから1時間以内の発作、体温39℃未満での発症、といった場合に、再発の可能性が高いと言われます。

●比較的安心な「単純型」

ほとんどの「熱性けいれん」は5分以内に止まります。


 次のような場合は「単純型」と呼ばれ、熱性けいれんのなかでも比較的軽い、安心できるケースと考えられます。
 ①15分以内に収まる
 ②24時間以内に繰り返さない
 ③意識の回復が良好
 ④全身性のけいれん


 逆に、15分以上続く、何度も繰り返す、意識が回復しない、体の一部だけがけいれんする、といった症状がある時は、他の病気の可能性もあるので病院を受診しましょう。


●「震え」との見分け方

熱性けいれんと似ていて、紛らわしいのが「震え」です。「シバリング」とも言います。震えは、子どもの体温が上昇する時に起こる生理現象です。寒がって震える時に、子どもは大きく派手に震えるので、けいれんと勘違いしやすいのです。

暖かい格好をさせて様子を見て、震えが止まれば、それはシバリングです。
 けいれんかどうかを見極める最大のポイントは「意識があるかどうか」です。けいれんの場合は意識をなくします。ぐったりして呼んでも反応がない、白目をむいている、といった症状があれば、けいれんのサインです。くすぐると反応する場合や泣いているのは意識がある証拠です。
 「熱せん妄」も熱けいれんと似ています。高熱でボーッとして、うわ言を言ったりします。意識がないように見えますが、名前を呼んだり、肩を叩いて刺激するとハッとわれに返ります。こちらも意識の有無で、熱けいれんと区別します。

●子どもがけいれんしたら

けいれんが起こった時、一番大事なのは、親が冷静になることです。子どもが激しく震えていれば、心配でパニックになるのは当然ですが、けいれんそのものが命に関わることは少ないので、まずは落ち着きましょう。

昔は「舌をかまないよう、ハンカチや割り箸を口にくわえさせろ」と指導していましたが、今はしません。口に詰め込んだ物が舌を喉の奥に押し込んでしまい、余計に吐いたり、窒息したりすることにつながるからです。

まず、口の中に吐物などがあれば取り除き、衣服をゆるめて、首もとやお腹まわりをラクにします。吐物やつばが溜まらないように、顔を横向きにして、安全で平らな場所に寝かせます。意識を戻そうと、ゆすったり叩いたりするのもNG。けいれん中や直後に飲み物や薬を飲ませるのもやめましょう。

●冷静な観察が大切

けいれんが続いた時間、顔色、目線、けいれんの左右差があったかどうかなど、症状をよく観察して対処することが大事です。スマホで動画を撮影しておくのもオススメ。あとで病院に行った時、的確に診断する助けになります。

●予防に「ダイアップ座薬」

けいれんをよく起こす子どもには、ダイアップ座薬を用いる場合があります。熱性けいれんを何度も繰り返す場合、1回のけいれんがきつかった場合などに処方されます。詳しくは、かかりつけ医に相談しましょう。

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