「ウイルス性胃腸炎」 重症化と感染拡大を防ぐには…

●冬から春先に流行

「ウイルス性胃腸炎」の原因ウイルスとしては、感染力の強いノロウイルスとロタウイルスが
有名です。ノロは毎年11~1月頃、ロタは3~5月頃に流行します。


 どちらも、最初の3日間くらいは発熱とおう吐の症状がみられ、その後1週間くらいは下痢が続きます。
 有効な薬は無く、治療は対症療法しかありません。


 低年齢の子どもはとくに、吐き下しによって重い脱水症状になりやすく入院する率が高いので、インフルエンザより怖い印象さえあります。感染力が強いため、家族全員がダウンするケースも少なくありません。

●「手洗い」で感染予防

ウイルス感染の予防には、「手洗い」がとにかく大切です。


 ウイルスは、口や鼻から体に入るので、食べ物を扱う調理の前にはママも丁寧に手洗いを。子どもには、帰宅時、食事前の手洗いを徹底させましょう。


 ベビーグッズや、子どもがよくさわるオモチャは台所用漂白剤など(次亜塩素酸ナトリウム)で定期的に消毒するとよいでしょう。

●脱水を防ぐホームケア

発症した子どもを家庭でケアする時は、脱水を防ぐことが何よりも大事です。水分と共に、水分の吸収を助ける糖分、塩分を合わせて補給します。

【水1L、塩3g、砂糖40g】を混ぜて経口補水液を手作りするのもおすすめです。酸っぱいジュースなどは吐き気を招きやすいので避けましょう。


[飲食再開のコツ]
 吐いた直後や、吐き気が強い時は、飲み食いをせず安静に。無理に飲ませても、すぐに吐いてしまうのでは、かえって体力を消耗するからです。吐き気がおさまってきたら水分を少量ずつ飲ませる「少量頻回」がポイントです。同じ量でも、数回に分けて飲むことで、胃腸への負担が軽くなります。


 食事を開始する時は、おかゆ、うどんなどの炭水化物、飴やラムネなどの糖分摂取から始めます。食べてよい物の目安はウンチの硬さ。便と同じくらいか、それより柔らかい物なら、胃腸に過度な負担がかかりません。例えば、水下痢をしている時は、スープや経口補水液、ゼリー類くらいに留めます。

●脱水の重症サイン

次のような状態は、脱水が重くなっているサインです。急いで病院を受診しましょう。
・体重が10%減少


子どもの体重が2~3日で10㎏→9㎏になった場合、60㎏の
大人なら54㎏!かなり深刻な状態です。
・意識がもうろうとしている
・泣いても涙が出ない
・半日以上おしっこが出ない
・顔色が悪い
・目が落ちくぼんでいる

●吐物や便の処理は適切に

 感染者の吐いた物や便にはたくさんのウイルスが含まれています。ノロの場合は、吐物や便が乾くと粉末になって空気中に舞い上がり、空気感染の原因になります。吐物や便は、できるだけ早く、正しく始末することが、感染を広げないために大切です。
[処理の手順]
①使い捨ての手袋・マスク・エプロンなどを着用する
②消毒液の準備
500㏄の水に台所用漂白剤(次亜塩素酸ナトリウム)をキャップ2杯くらい入れる。
③消毒液をかけて拭き取る
吐物や便に古新聞などをかぶせて消毒液をかけ、拭き取る。
④二度拭きする
消毒液をしみ込ませた布などで再度拭く。
⑤広範囲に拭き取る
トイレ内なら壁やドアノブまで拭く。
⑥密閉して捨てる
吐物やオムツ、手袋などをビニール袋に入れ、口を固く結ぶ。
⑦最後に手洗いを忘れずに
⑧加熱も有効
じゅうたんなどに染み込んでしまった時は、アイロンで熱消毒(85℃で1分以上)するのも効果あり。

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