夏に向かってご用心!「食中毒」を予防しましょう

●春から夏に増える食中毒

食中毒が最も発生しやすいのは、春から夏にかけて。気温や湿度が上がり、食中毒の原因菌やウイルスが繁殖しやすくなるからです。
 アウトドアでバーベキューなどを楽しむ機会が増えるこの季節。加熱が不十分なお肉や、高温の場所に置いていたお弁当を食べたことによる食中毒も毎年、報告されています。

●食中毒の主な原因は三つ

微生物(細菌・ウイルス)
 代表的な細菌は、腸管出血性大腸菌(O157など)やカンピロバクター、サルモネラ菌など。温度や湿度の条件が揃うと食べ物の中で増殖します。
 ノロウイルス、ロタウイルスなどは、ヒトの腸内で増えて食中毒をひき起します。


化学物質(アレルギー様食中毒ヒスタミン、食品添加物や有害金属、油脂の変質)
 青魚は死ぬと血中にヒスタミンという物質を作ります。ヒスタミンを多く含む魚を食べることでアレルギーのような症状に。古い油なども食中毒の原因になります。


自然毒(カビ、毒キノコ、トリカブト、フグなど)
 スイセンの葉(有毒)を、ニラと間違えて食べて食中毒になった例もあります。山菜などは食べる前に、有毒でないことをよく確認しましょう。

●症状と治療法

毒素型の黄色ブドウ球菌は、体に入って約3時間で発症します。カンピロバクターは2~5日間、ときには1週間後に症状が出る場合もあります。


 食中毒の一般的な症状は、腹痛、嘔吐、下痢(ときに血便)、脱水です。感染の種類によっては発熱や意識障害、チアノーゼ、けいれんが見られる場合もあります。食中毒が疑われる時は、早めに病院で受診しましょう。


 子どもはとくに脱水症状になりやすいので、経口補水液などでこまめに水分補給することが重要です。熱がある時は解熱剤を使ってもかまいません。
 下痢止めは、病原体や毒物の体外への排出を遅らせるので使いません。

●「手洗い」で菌をつけない

食中毒の予防に最も効果的なのは「手洗い」です。せっけんで指先や指の間まで念入りに洗います。子どもには、帰宅直後や食事前の手洗いを習慣づけましょう。

大人も、とくに調理前には手洗いを。

さらに食品を手で直に触らないことが大切です。おにぎりは、ラップで包んで握るなど工夫しましょう。

●「加熱」でやっつける

 予防策として食材の加熱は効果があります。カンピロバクターやサルモネラ菌は 75℃で1分以上加熱すれば死滅します。冷凍肉は完全に解凍して小さく切り、中心部までしっかりと火を通すことが大切です。


 また、調理の際に生の食材に触れた箸と、食べる時に使う箸とは必ず分けましょう。
 ただし、加熱でやっつけられない菌や自然毒もありますから、生卵、生肉は食べない、川の水などを飲まないことも食中毒の予防につながります。


 また、カレーなどが冷める時に急速に増殖する菌もいます。温め直す時はかき混ぜながら調理し、冷却する時は小分けにして急速に冷やせば、菌の増殖を抑えることができます

●原因菌を広げない

調理器具は洗剤を使って洗った後に、熱湯消毒しましょう。
 家庭で「食中毒かも」と思ったら、吐物やおむつは、ビニール手袋やエプロンを装着して処理し、密閉して捨てましょう。
 ロタウイルスは、アルコールでは死滅しません。床についた吐物などは、次亜塩素酸ナトリウム(塩素系漂白剤)で拭き取りましょう。
 子どもを食中毒から守るために、家族みんなで予防に努めることが大切です。

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