●身近に潜む「やけど」リスク
小さな子どものやけど事故の多くは自宅で発生しています。最も多い場所はキッチンです。鍋やポットのお湯、炊飯器の水蒸気などが主な原因です。アイロン、煙草の火などにも注意が必要です。
さらに夏には花火やバーベキューなど、火を使うイベントが多くなるので、気をつけていないと大変なやけど事故につながります。引火しやすい服装を避ける、火は確実に始末するなど、周りの大人がしっかりと目配りしましょう。
●重症と軽症の見分け方
やけどは、高温のものに触れて起きる皮膚の炎症です。皮膚が赤くなる程度なら軽症ですが、「水ぶくれ」ができたら、皮膚の深部までダメージを受けている可能性があります。皮膚の色が白い、痛みが何日も続くのも重症のサイン。重症のやけどは、適切な処置をしないと、あとが残りやすいので、すぐに病院へ。
顔面や陰部のやけども受診の緊急性が高いです。顔のやけどでは、蒸気などを吸い込んで気道を損傷しているケースもあります。
●とにかく「冷やす」
やけどの初期対応として、「冷やす」ことが最も大事です。
水道やシャワーの流水で冷やします。時間の目安は、手足なら20分、広範囲のやけどなら10分程度です。子どもは低体温になりやすいので、冷やし過ぎにも注意が必要です。
衣服の上から熱湯を浴びた場合は、服を着たまま風呂場などで流水をかけて冷やします。無理に脱がすと、傷んだ皮膚がめくれたりするので、着衣のままが安全です。
氷や氷のうを患部に直接あてるのは血流が悪くなるのでNG。保冷剤を使うときは、ガーゼなどでくるみましょう。
目や耳は、濡らしたタオルをあてて冷やし、こまめにタオルを取り替えます。
冷やした後は、乾いた清潔なタオルやラップで覆い、水ぶくれを潰さないように注意して病院を受診しましょう。
応急処置の方法はシンプルですが、慌てると動けなくなるので、落ち着いて対処することが大切です。
●やけど事故を防ぐポイント
小さな子どものやけどを防ぐには、事故が起きないよう家の中の環境を整えることが大事です。子どもの手が届く範囲を確認して、危険な物の置き場を見直しましょう。次のポイントはとくに要チェックです。
〇鍋や汁物の器が危ない!
1メートル以上の高い場所に置く。子どもから、鍋の取っ手だけが突き出して見えるのも、好奇心から触ろうとするので危険です。
〇電気コードが危ない!
子どもの動線、目線に放置しない。つまずいたり、引っ張ったりして、電気ケトルやアイロンを倒す原因になる。
〇テーブルクロスが危ない!
引っ張ってクロスごと食器などを落とすので、小さな子どもがいる家庭では使わないほうがよい。
〇炊飯器の蒸気が危ない!
子どもが触れられない高さに置く。蒸気の出ない炊飯器を使う。
そのほか、子どもがキッチンに入れないように柵を設置したり、熱湯に触れる危険のあるお風呂の扉に鍵をかけるのも、事故を防ぐために有効です。