醍醐渡辺クリニックのドクターに伺いました-_20230708

　日本国内で比較的簡単に入手可能でかつ科学的に効果が期待できる避妊方法としては、コンドーム・経口避妊薬（いわゆるピル）・避妊リングの3つがあげられます。コンドームは精子の腟内への侵入を防ぐことにより避妊をするものです。コンビニやドラッグストアで簡単に購入できるため手軽な方法ですが、性交のはじめから終わりまで確実に装着すれば高い避妊効果が期待できます。性感染症に対する予防効果もあるため、他の避妊方法と併用するのもお勧めです。男性主体の避妊法になりますので、適切に使用し装着の失敗に注意するなど男性の協力が不可欠です。
　経口避妊薬（ピル）には排卵や着床を防ぐ効果があります。毎日忘れずに飲む必要があるため多少煩わしさはありますが、正しく服用できていれば、ほぼ失敗のない確実な避妊法です。月経開始後であれば何歳からでも服用できます（50歳以上の方は飲めません）。ピルを飲み続けると月経時の出血量が減り痛みも軽くなるため、月経症状の緩和のために服用する方も増えています。服用を中止すればすぐに妊娠することも可能です。まれに血栓症などの重い副作用が出ることがありますので、医療機関で処方してもらう必要があります。
　避妊リングは3㎝ほどの小さなT字型の器具を子宮内に挿入し、受精卵の着床を防ぐことにより避妊をするものです。一旦入れてしまえば普段は手間がかかりません。挿入／抜去ともに外来でできますので入院する必要もありません。国内では避妊リングから女性ホルモンが放出されるタイプ（IUS）が主流となっており、IUSにはピルと同様に月経症状の緩和も期待でき、5年間効果が続きます。お産の経験のない方でも使用できます。
　年代ごとのおすすめの避妊法は、10代の方やお産を経験されてない方にはピルが使いやすいと思います。お産後の方は避妊リングの使用をお考えになってはいかがでしょうか。いずれの場合も性感染症の心配がある場合にはコンドームを併用してください。また避妊をせずに性交渉をしてしまった場合や避妊に失敗した場合には、性交後72時間以内であれば効果の期待できる緊急避妊薬がある、ということも知っておいてください。

　女性のからだにおいては、卵巣から出る女性ホルモンが健康や活力を保つ上で大きな役割を果たしています。20代や30歳代には充分に分泌されていた女性ホルモンも、40歳代になり卵巣の働きが弱まるとともに分泌量も低下し、さまざまな不快な症状が出るようになってきます。こうした時期を更年期と呼び、個人差はありますがおおむね閉経前後の10年ほどの間に症状を自覚される方が多いようです。更年期の症状はいろいろとありますが、のぼせ／ほてり・発汗・動悸・関節痛・不眠・イライラ・集中力ややる気の低下などがよく知られています。この時期は子育てが一段落するなど生活の上でも大きな変化が起きやすい時期でもあり、そうしたことも症状の出方に関係しているといわれています。更年期に生じる卵巣の働きの低下自体は誰にでも起きることですから、必ずしも薬などによる治療が必要なわけではありません。まず、食生活や睡眠・運動といった生活習慣から見直して健康的な生活を心がけるようにしましょう。とはいっても忙しい毎日の中で生活習慣の改善を徹底するのは容易なことではありませんので、生活の見直しをしながらも、症状がきつい場合には薬による治療を行います。漢方薬でからだ全体の調子を整えながら症状の改善を目指すこともありますが、原因が女性ホルモン不足にあるため、ホルモン剤による治療が大変有効です。現在ではホルモン剤は飲み薬だけでなく、貼り薬・塗り薬・坐薬など種類も豊富になっていますので産婦人科で相談されご自身にあった薬をさがしてみて下さい。