醍醐渡辺クリニックは、女性の体のホームドクターとして、思春期から老年期まで女性に寄り添って50余年。
今回は読者の皆様からのご質問が多い「生理について」お答えいたします。
★ ドクター紹介 ★
田村医師
「金沢大学医学部卒業後、いくつかの関連病院を経て18年前より着任。主に産科を担当。安全なお産を心掛けています。看護スタッフから「魔法の手」を持っているようと言われ、判断も確かと厚い信頼が寄せられています。」
先生から一言:「患者様には一期一会と思って診療しております」
趣味:音楽全般・山歩き
好きな食べ物:梨・スイカ・麺類
苦手な食べ物:無いです
今回は、次のような質問があったのでお答え致します。
産後、生理がひどくなったような気がします。
どうしてでしょうか。
毎月の生理に苦しんでいます。
生理を止める、または痛みを和らげるなど
方法を伺いたいです。
生理前の症状が辛いので
どういった治療方法がありますか。
【月経困難症について】
月経困難症とは月経中に随伴しておこる色々な困った症状のことをいいます。 具体的には月経に伴う疼痛=月経痛だけでなく、腰痛、頭痛、嘔気、疲労、食欲不振、下痢や気分変動といった様々な随伴症状も含まれます。 月経困難症には原因疾患を有しない機能性月経困難症と、原因疾患を有する器質性月経困難症があり原因疾患で多いのは子宮内膜症と子宮腺筋症、子宮筋腫などです。器質的疾患を有する場合は、将来不妊症になる可能性も高いので産婦人科の診察をおすすめします。
●機能性月経困難症:月経初日、二日目に月経量が多く、痛みは、痙攣性、周期性で子宮が強く収縮することによって起こるとされています。治療としては、
- 鎮痛薬による対症療法:痛み止めを定期的または頓用で使う
- 低容量エストロゲン・プロゲステロン配合薬(いわゆるピル)の服用またはレボノルゲストレル放出子宮内システム(子宮内避妊器具:ミレーナ)を使用する
- 漢方薬あるいは鎮痙薬を服用する
などがあります。
●器質性月経困難症:20才代後半から30才を超えて発症することが多く、一度病変が指摘されれば、自己判断で放置をせず、定期的に産婦人科で検診するのが良いでしょう。また、治療としては、機能性月経困難症と同じように
- 鎮痛薬による対症療法
- 低容量エストロゲン・プロゲステロン配合薬(いわゆるピル)の服用またはレボノルゲストレル放出子宮内システム(子宮内避妊器具:ミレーナ)を使用する
- 上記薬物が効かない場合GnRHアナログ、ダナゾール、レルミナなどの偽閉経療法(使用期間は6ヵ月の期限があります)
- 薬物治療が効かない場合または不妊症を伴う場合には、手術による病巣摘出、癒着剥離などを行う。
などがあります。
また、分娩した人は産後に月経痛が産前と比べ軽くなる方が約2割、きつくなる方が1割程度とされています。きつくなる原因については、諸説ありますが、産後のストレス、ホルモンバランスの変化、器質的疾患の悪化、などがあるといわれています。
【月経前症候群(Premenstrual syndrome:PMS) について】
月経前症候群、以下(PMS)は「ほとんどの月経周期において、月経前3〜10日前の黄体期後期に発症する多種多様な精神的あるいは身体的症状で、月経発来とともに減弱あるいは消失するもの」とされています。
精神神経症状として情緒不安定、イライラ、抑うつ、不安、眠気、集中力の低下、睡眠障害、自律神経症状としてのぼせ、食欲不振・過食、めまい、倦怠感などがあり、また身体的症状として腹痛、頭痛、腰痛、むくみ、お腹の張り、乳房の張りなどがおこります。
我が国では月経のある70〜80%のかたに月経前に何らかの症状があるとされており、社会生活が困難な人は5.4%ぐらいだとされています。治療法ですが
- カウンセリングや生活指導、運動療法を行う。
- ドロスピレノン・エチニルエストラディオール錠(ピルの一種)を服用する。
- 精神的症状が主体の場合は、抗うつ薬などを処方したり、精神科や心療内科を紹介する。
などです。
PMSの中でも、特に心の不調が著しく、日常生活や社会生活に支障をきたしている状態をPMDD(月経前気分不快障害:dysphoric disorderpremenstrual)と呼びます。PMDDの症状は次のようなものがあります。
- 感情コントロールが困難
- 攻撃的暴力的振る舞い
- 深い悲しみや絶望感による希死念慮
- 過度な緊張や不安感によりパニックになる
- 著しい疲労感、集中力の欠如、睡眠障害
などです。
以上より、月経中や月経前に色々な症状がある方は、自己判断で我慢せずに、近くの産婦人科や心療内科で相談をしましょう。また、当院でもお気軽に相談していただければと常日頃思っております。
今回のお話しはいかがでしたか?
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