醍醐渡辺クリニックは、女性の体のホームドクターとして、思春期から老年期まで女性に寄り添って50余年。
今回は読者の皆様からのご質問が多い「産後の避妊」や「次の妊娠までの期間」についてお答えいたします。
★ ドクター紹介 ★
石川医師
滋賀医大卒後、大学院と農学部畜産科で「着床」に関する研究をし関連病院を経て19年前に着任。
先生から一言:「産婦人科診療全般に携わっていますが、不妊センター長として不妊治療に注力しています。治療の進歩で従来は難しかった妊娠も可能になりましたが、現実は40歳以降は治療が難しく、妊娠希望なら早めの治療開始をお勧めします。」
趣味:水泳、ドライブ
好きな食べ物:そば
苦手な食べ物:すっぱい食べ物
産後の避妊について教えてください。
産後は授乳などの影響で排卵が抑制され妊娠しにくい状態になる方もおられますが、これには個人差がありますので、妊娠を望まない場合には産後初めての性行為から避妊を行う必要があります。
日本国内で比較的簡単に入手可能でかつ科学的に効果が期待できる避妊方法としてはコンドーム・経口避妊薬(いわゆるピル)・避妊リングの3つがあげられます。
コンドームは精子の腟内への侵入を防ぐことにより避妊をするものです。性交のはじめから終わりまで確実に装着すれば高い避妊効果が期待できます。もちろん授乳中でも安心して使用できます。性感染症に対する予防効果もあるため、他の避妊方法と併用するのもお勧めです。男性主体の避妊法になりますので、適切に使用し装着の失敗に注意するなど男性の協力が不可欠です。
経口避妊薬(ピル)には排卵や着床(受精卵が子宮内膜に接着すること)を防ぐ効果があります。毎日忘れずに飲む必要があるため多少煩わしさはありますが、正しく服用できていれば、ほぼ失敗のない確実性の高い避妊法です。薬の成分が乳汁中に漏れ出るため授乳中の方は服用できませんので、産後の服用には制限があります。ピルを飲み続けると月経時の出血量が減り痛みも軽くなるため、月経症状の緩和のために使用する方も増えています。服用を中止すればすぐに妊娠することも可能です。まれに血栓症などの重い副作用が出ることがありますので、医療機関で処方してもらう必要があります。
避妊リングは3cmほどの大きさのT字型の器具を子宮内に挿入し、受精卵の着床を防ぐことにより避妊をするものです。一旦入れてしまえば普段は手間がかかりません。挿入/抜去ともに外来でできますので入院する必要もありません。国内では避妊リングから女性ホルモンが放出されるタイプ(IUS)が主流となっており、IUSには経口避妊薬(ピル)と同様に月経症状の緩和も期待でき、5年間効果が続きます。授乳中でも使用することができます。
経口避妊薬(ピル)や避妊リングには性感染症を予防する効果はありませんので、性感染症の心配がある場合にはコンドームを併用してください。
避妊に失敗した場合の対処法はありますか。
避妊に失敗したあるいは避妊なしで性交渉を行ってしまった場合には、緊急避妊薬を用いるのが一般的です。緊急避妊薬は無防備な性交渉が行われた後、72時間以内に服用することで、80%は妊娠を防ぐことができる薬です。副作用はほとんどありませんが、軽い吐き気を感じる方がおられます。健康保険の適応になりませんので、1回につき1万円ほど費用がかかります。緊急避妊薬には排卵を抑えたり受精や着床を妨げる効果がありますが、中絶薬ではないため、着床が完了してからでは効果が期待できません。また経口避妊薬と同様に、薬の成分が乳汁中に漏れ出ますので、服用後しばらくは授乳を中断する必要があります。
次の妊娠にはどれくらい期間を開けた方がよいでしょうか。
次の妊娠に臨める時期は経腟分娩と帝王切開分娩とで大きく異なります。
経腟分娩の場合は特段の決まりはなく、医学的には産後半年以内の妊娠も期待できないことではありません。しかし現実的には授乳終了に一定の目途がたつようになる、産後10か月以降が一つの目安になろうかと思います。
帝王切開の場合は、切開した子宮の傷が妊娠に耐えられる状態になるまでは妊娠を控える必要があります。子宮の傷の回復に要する期間は手術時の状況や切開の仕方によって異なりますので、手術を行った医療機関でないと正確なお答えはできかねますが、10か月程度で妊娠可能になることが多いです。
今回のお話しはいかがでしたか?
妊娠・出産その他、受診されたい方は、醍醐渡辺クリニックまでお問い合わせください。
075-571-0226
京都市伏見区醍醐高畑町30-15
地下鉄醍醐駅1番出口より南へすぐ
https://www.d-w-c.jp/