醍醐渡辺クリニックは、女性の体のホームドクターとして、思春期から老年期まで女性に寄り添って50余年。
今回は読者の皆様からのご質問が多い「妊娠中の食べ物や薬の服用など」についてお答えいたします。
★ ドクター紹介 ★
田村医師
金沢大学医学部卒業後、いくつかの関連病院を経て20年前より着任。主に産 科を担当。安全なお産を心掛けています。看護スタッフから「魔法の手」を持っているようと言われ、判断も確かと厚い信頼が寄せられています。
先生から一言:「患者様には一期一会と思って診療しております」
趣味:音楽全般・山歩き
好きな食べ物:梨・スイカ・麺類
苦手な食べ物:無いです
妊娠中の食生活について
教えてください。
妊娠中の食事の内容についてよく質問されますが、常識的な範疇で良いかとおもいます。
例えば、
● バランスの良い食事を心がける
● 暴飲暴食を避ける
● 新鮮な食品を使用する
● 十分に加熱する
● 調理器具を清潔に保つ
● 食中毒に注意する
また、具体的には、次のようなことに気をつけましょう。
● 1日3食を基本に、主食・主菜・副菜がそろった食事をしっかり食べる
● 肉や魚、野菜、乳製品、果物などを偏りなく摂る
● 緑黄色野菜を積極的に食べ、葉酸を摂取する
● 鉄分が豊富な食品を積極的にとり、鉄欠乏性貧血を予防する
● 食塩は控えめにし、むくみや高血圧の原因にならないようにする
● アルコールや栄養ドリンクは飲まない
● 生ものや加熱が不十分な食べ物は避ける
● 調理や食事の前には入念に手洗いをする
などですが、あまりに縛りをきつくするのは精神的負担を伴います。また、コーヒー紅茶など嗜好品はある程度とっていいと思います。
妊娠中に重いものを持ってはいけないのでしょうか?
また、運動はどの程度大丈夫ですか?
重いものを持つ場合はお腹に腹圧が極度にかかったり、腰に負担がかからないようにしましょう。無理をせず、他の人に代わってもらいましょう。
また妊娠中の運動ですが、以前には合併症リスクの観点から運動は控えるようにアドバイスされていましたが、禁忌(禁じられていること)の無い女性にとっては妊娠中の運動が有益です。
日本産婦人科学会のガイドラインでは「妊娠中の有酸素運動は有益であるが、転倒や落下、接触の危険を有する、あるいは競技的性格の強いスポーツや、仰臥位やあるいは不動のまま立位を保持する姿勢は好ましくない。」とされています。また、「重篤な心疾患や呼吸器疾患、頸管無力症などの疾患や症状がある場合、種類にかかわらず、妊娠中の運動の開始・継続は勧めない。」とされています。健康な妊婦さんの適度な有酸素運動は早産や低出生体重児などのリスクを増加させることなく、健康維持・増進に寄与することが期待でき、妊娠高血圧症候群、妊娠糖尿病、帝王切開分娩等を減少させる可能性もあります。運動中に、立ちくらみ、頭痛、胸痛、呼吸困難、下腿の痛みあるいは腫脹、腹部緊満や下部重圧感、子宮収縮、性器出血、羊水流出感などの症状が現れた場合、医師に連絡し、継続・中止について相談するようにしましょう。
妊娠中に気をつける病気について教えてください。
また、常備している風邪薬や頭痛薬を服用しても大丈夫ですか?
妊娠中に風疹に感染すると、胎児に先天性風疹症候群を引き起こす可能性があり、難聴や白内障、心疾患、心身の発達の遅れなどの障がいが起こることがあります。妊娠20週頃までに感染すると「先天性風疹症候群」の赤ちゃんが生まれる可能性が高くなります。風疹の予防接種は妊娠中に受けることができないため、妊娠前に予防接種を受けることが大切です。トキソプラズマ症は加熱不十分の肉や肉の加工品、猫のフンやフンに汚染された土に触れることで感染します。健康な人であれば8割の人は無症状ですが、症状が出た場合は首のリンパの腫れや、発熱、筋肉痛、全身の倦怠感などがあります。クラミジア・トラコマチスは性行為によって感染する細菌で、女性の場合は無症状の人が多いです。妊娠中に感染すると、流産や早産の原因になることがあります。また、出産時に新生児に感染し、肺炎や結膜炎を発症することもあります。性器ヘルペスは外陰部に水疱やかぶれが起こり、一度感染すると体内の神経節に潜伏し、妊娠中に症状の出てくることがあり、産道感染すると赤ちゃんが肺炎や脳炎を引き起こすことがあります。他にも気をつけていただきたい疾患、症状がありますので、気になることは早めにご相談ください。また妊娠中に常備薬を服用する場合には、薬の成分や服用期間、添付文書を確認し、かかりつけの産婦人科医や薬剤師に相談しましょう。もし服用してしまってからの場合は、経過観察をすることが多いのですが、それについても相談してみましょう。
妊娠中は些細なことでも気になることが多くなります。私たちも診療において患者様に真摯に対応していくつもりであります。診療中忙しくしていることもありますが、お気軽にご相談ください。
今回のお話しはいかがでしたか?
当院では上のお子様連れでも受診できますので、二人目の不妊でお悩みの方はご相談ください。
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