醍醐渡辺クリニックのドクターに伺いました-_20250304

醍醐渡辺クリニックインタビュー醍醐渡辺クリニックインタビュー

醍醐渡辺クリニックは、女性の体のホームドクターとして、思春期から老年期まで女性に寄り添って50余年。
今回は読者の皆様からのご質問が多い「無痛分娩」についてお答えいたします。


ドクター紹介

山口医師
奈良県立医科大学卒。京都府立医科大学付属病院で研修。近江八幡市民病院、公立南丹病院勤務。京都府立医科大学大学院卒。府立与謝の海病院勤務。醍醐渡辺クリニック在勤。(医学博士。生殖医療認定医。産婦人科専門医)
先生から一言:「お困りのことがありましたら気軽に御相談ください。」
趣味:ツーリング(時々)・音楽を聴く
好きな食べ物:ラーメン、カレー、とんかつ、餃子
苦手な食べ物:脂っこいもの


無痛分娩について教えてください。

 呼吸法で痛みをのがしていくようなラマーズ法もありますが最近では無痛分娩を行う施設が多くなりました。施設により開始時期、麻酔薬の投与内容、方法は多々ありますが当院での方法についてお話します。患者様の陣痛発来後、子宮口が3~4㎝に開大したところで硬膜外麻酔を行います。(痛みに耐えられない方の場合、早めに麻酔を行うこともあります。)局所麻酔を行ったあと、背骨にある硬膜外腔という場所に背中から1㎜程度のチューブを留置します。ここからポンプを用いて麻酔薬を持続注入し痛みをブロックします。患者さんがボタンを押すことで麻酔薬が追加投与できるPCAポンプを使用します。(一度ボタンを押すとある一定間隔は追加投与できなくなる仕組みになっています。)「無痛」と聞くと痛みが全く無くなる印象を持たれるかもしれませんが、「減痛」と考えてもらった方が良いと思います。麻酔が効きすぎて完全に無感覚となった場合、適切なタイミングを把握することができず出産が難航する可能性がありますので、減痛程度のほうが出産にあたって陣痛時のお腹の張りや赤ちゃんが移動する感覚もわかり「いきむ」こともできますから悪いことばかりではありません。薬を注入していくと痛みが和らいできます。痛みが軽減することで骨盤底の筋肉の緊張もほぐれ分娩の進行がよくなることが多いのですが、陣痛も弱めてしまうこともあるので陣痛促進剤を使いながら分娩を監視することが多いです。低血圧にならないか、麻酔の副作用がないか注意しながら管理します。いよいよ出産に臨む際、麻酔による運動麻痺のため腹圧が掛けられない際には吸引分娩やクリステル圧出法(子宮底圧迫法とも言い、陣痛に合わせて妊産婦のお腹に圧をかける方法)を用い出産のお手伝いをすることがあります。

無痛分娩のメリット、デメリット
について教えてください

ーメリットは?ー
 理想的な無痛分娩は、通常のお産に比べて胎児への負担が少なくなります。痛みというストレスがなくなり、子宮や胎盤に流れる血液量が豊富になり、胎児に供給される酸素量も十分になります。また、麻酔によって骨盤の筋肉や膣の出口が柔軟になるため、産道が硬くて難産となっている方はお産が進みやすくなります。また、痛みが少ないために血圧の上昇が抑えられ血圧が安定します。
ーデメリットは?ー
 頻度は高くないものの、全脊麻(硬膜外麻酔のチューブが脊髄を覆っている膜、脊髄くも膜下腔に迷入し広範囲に麻酔が掛かってしまうことをいいます。)や硬膜外血腫(麻酔のチューブを入れる操作の際に血管損傷がおこり出血した血液が大きな血腫になり、脊髄神経を圧迫し神経障害を起こす原因となります。)を生じる恐れがあります。また、分娩終了後に頭痛が生じたり、麻酔中に血圧が低下しすぎて気分が悪くなったりすることがあります。麻酔薬の影響で陣痛が弱くなることでお産が進みにくくなるため、陣痛促進剤の使用が必要となることがあります。

無痛分娩が24時間対応と日時を
決めないと対応してくれない
医療機関があるのはなぜですか?

 色々な理由が考えられます。施設により麻酔科の医師だけが硬膜外麻酔を行うようにルールを決めている施設もあります。また硬膜外麻酔のためのチューブ挿入を特定の医師に施行させている施設もあります。週のはじめに計画分娩として行っている施設もあります。硬膜外麻酔下での分娩になりますので母体の全身状態の把握と胎児のモニタリングをしなくてはなりません。人手も必要ですので24時間対応にすると医療側の負担が大きくなるので行えなくなります。また硬膜外麻酔は簡単な手技ではありません。肥満の方で椎間腔がわかりにくい場合もありますし、硬膜外腔までの距離がかなり長い場合もあります。現場では麻酔処置に難渋することもあります。
 陣痛が始まると無痛分娩を選択するか悩んでしまうこともありますので、分娩の方針については予め決めておかれて、医師に相談や説明を希望されることをお勧めいたします。

(日本産科麻酔学会:JSOAP ホームページより引用)

今回のお話しはいかがでしたか? 
当院では上のお子様連れでも受診できますので、二人目の不妊でお悩みの方はご相談ください。


醍醐渡辺クリニック

075-571-0226
京都市伏見区醍醐高畑町30-15
地下鉄醍醐駅1番出口より南へすぐ
https://www.d-w-c.jp/

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